「!!」

後ろをとられたと気が付いた時にはもう遅かった。
左から回された刀が、私の首筋に触れるか触れないかの距離でぴたりと止められて。
「な、何をする、レッド…」
「…さぁね?お前次第だ、ヒィッツ。」

まさか仲間に突然攻撃を仕掛けられるとも思っていなかった私は、情けないまでに動きを封じられて。
く…っ、指を、もう少し上に上げられれば…
「おっと、ピクリとでも動けばこれがイー感じでノドの肉に食い込むぜ?」
「あ、う…」
なぜ。
なぜ、レッドが、私を…

「ああ、そうそう、そうだなぁ?お前ちょっとゆっくりと手を上に上げろ」

…どういう、つもり…

「早くしろ!」



言われるままに、手を開いたままゆっくりと上に上げる。
一瞬でいい、一瞬の隙さえ見つければレッドを真っ二つに出来る。
でも…

ナカマ、だぞ?
レッド相手に、私が…能力を使う?

「…う」

「そうそう、そのまま。分かってるだろうな?能力なんか使おうだなんて思えば…」
「ぃっ!!!」

微かに触れただけの剣先、首筋に生暖かい筋が一つ流れたのを感じて。
レッドが本気であることを知った。
でも、私は?
本気になれるのか?レッド相手に。

「上げた手を組め。指を開いて、交互に、そうそう」
言われるがまま、指と指を交差させて、組み上げる。
…私の能力を使えなくするつもり、なんだろう。
殺すなら、さっきの一撃でやっているはず。

「なんのつもりなんだ…う?!」

手を組み終わって、不意に気が抜けた瞬間。
その手が何かに引っ張られるように上に持ち上げられ、身動きが取れなくなる。
「あ、っ、な、なに!?」
高く掲げられた手の先を苦し紛れに確認すると。
レッドのマフラーでグルグル巻きにされ、指一本動かせない私の手が。
天井の梁から、遠く高い天井の梁から吊るされているのが見えた。
「レ、ッド…?」
「いい格好だ、ヒィッツ」

レッドがひどく楽しそうに笑うのを見た私は、一瞬でパニックに陥った。





「さぁて」

楽しそうな声に、首筋が震える。

「どうしようかな?」

近づいてくる手から懸命に顔をそらすけれど、手が、軋ん、で…、
「う、ッ…」
するりと軽く私の顎を取って、さらに笑う。
「どうしてなんだ、って顔してんネェアンタ?」
あ、当たり前…
言い返そうとした言葉は、何かで塞がれて言葉にならなかった。
…それはレッドの唇。
「!!!」
顎を持つ指が力を増して、私の動きを封じてしまう。
口内を勝手に侵食する舌先が、ヌルヌルとした感触で…
「ん、んーーーっ…ッ!!!」

「ぷはー。んん、まーまぁのキスだな。どうだ?感想は」

そんな、もの、あるわけない!

「ふぅん、やけに顔が赤いぜ?…この程度でそれじゃ、先が思いやられるな…」

ニヤニヤという音がまさに当てはまる表情で、その唇を湿らせる。
顎にかけられていた指が滑って、首筋から耳元へ…
「ッうン」
「ん?ヒィッツ?…」
さらに、その輪郭をなぞって、軽く耳朶をつまむ。
「っんん!」
「へぇ。やらしーんだ」
「ち、ちが…ッ…や、アッ」
そんなトコ、別に普段どうってことないのに!
口から漏れる声を必死で押しとどめて、何とか唇を真一文字に結んだ。
…腕が、痛い。
レッドの指先はその含み笑いと共に耳からはずされ、私のシャツにその移動先を変える。
布地を軽くつまむ指先。
「結構滑らかな生地のシャツだな」
「…ッだから、なんだっ」
「ココとか、思い切り感じちゃったりしない?」

スーツの内側に滑り込む指。

「!そこは…!」

だ、駄目…
昔から、ソコだけは、本気で弱…

「あ、っっーーーー!!!」

シャツの上から撫でられて。
やさしく何度もその摩擦を繰り返されると、身体全体が意思に反して反り返る。
「ひぃ、、い、あっ、や、ああっ!」
「アッはハハハハ!すげぇよヒィッツ、アンタ感じすぎ、へぇ、乳首弱いんだ?」
「ん、ッ、やめ、レッド頼む!」
「なに?もっと?」
いつの間にか、レッドの顔は間近にあって。
私の表情を荒い息で眺めていた。
「いいカオだよ。”華麗なるヒィッツ”」
下半身に押し付けられるレッドの腰に、熱いものを感じて。
「…レッド…なんで、こんな、コト」
「言ったじゃネェかよ、別に気が向いただけだ、いや、どうかな、気が向いたって言うよりは…我慢できなくなった、ってカンジ?」
グリ、と腰を押し付けて。
「んッ…、ヒィッツ…もっと善がらせてやっかんなァ」
ピィン、
「ぎひぃッ!!!」
胸を強くはじかれて、目を見開いた。
一瞬だけ、天井が暗くなる。
身体が、ふいにレッドの手から自由になる。
ばらばらと落ちていく布。
私がまとっていた布の集合体が、今ヒトツヒトツに分解して落ちていくような、そんな錯覚。
「…あ、あ…」

絶望に、床を見ることしか出来ない私の目の先に、レッドの靴先がうつって。
恐る恐る顔を上げると、ゆっくりと近づいてくるレッドが舌をべろんと出して笑った。
「直に触ってやろうか」
い、いや、
「なぁ?」
だめ
「そんなに首振ったって言わなきゃわかんねぇよ?」
「あ、あっ、や…」

「そうだよなぁ?」
ずい、と、顔が近づいて、視界がレッドでいっぱいになって。
「そりゃァイヤだよな!こんなにしてんのに」
「ひぃぃっ!!!」
「触ってもらえなきゃイヤだよなぁ?」
レッドの指が捉えたのは、言葉どおり先ほどの愛撫ですでに反応を示してしまっていた下半身。
粘液のこすれあう音が耳に遠く響いて、ソレに私の叫び声が混じって聞こえた。
頬に何か這っていくような感触
…涙

裂ける感覚とひどい痛み、素足に掛けられたレッドの以外に無骨な指。
身体を割って入ってくるのはレッド自身、で
「ひ、う、っ…も、もう、やめ…」
私の言葉は無視されて。
ただ、快感に喘ぐ笑顔が返ってきただけだった。
「気持ちいいぞ、お前…ン中…」
汗で髪が顔にはりつく。…邪魔くさい。
レッドの動きと同時に、内部を引っかかれるような感触とそれに伴う痺れが身体を駆けていく。
「お前も、感じろよ」
なぜか、やさしく聞こえた声。
「なぁ?ヒィッツ。もっとオカシクなる所、見せろよ…」
背中に回される手の感触、私の胸にうずもれるレッドの髪の感触
「…う」
ピチャ
「あああっ!?」
「ン、やっぱ胸のほうが感じるのか、すげぇ反応」
見ると、舌を出したレッドが私を見上げて。
目をそらせない私の目の前で、舌を近づけていく。
私の、一番敏感な場所に。
「やめろ、ほ、本当にオカシクなってしまう!!」
「だからソレが見てェのよ」
舌先が、胸の突起に触れて。
「ひっ」
押し付けながら舐めあげる。
「あ、あぅ、っ!」
背中から回された指が、微かに届く中指で突起を弾きあげ、ソレは何度も何度も繰り返…
目の前がチカチカと弾け飛んで
指の動きに柔らかな濡れた感触が混じる
ぴちゃ、
「−−−−−−−−−−−−−−−−−ィぃッ!!!!」
「中がすげぇビクビクしてるぞ、ヒィッツ…そんなに、ココが気持ちいいか?ホラ」
「は、ぁ、ひ、ああ、あっ!助け、助けて、壊れるッ…!!!」
「すげー…もう、俺だって、耐え切れねぇ、よ…?」
寸前だった。
ぎりぎり寸前でレッドは私の根元を強く掴み、私はソレに翻弄されっぱなしで
もう、
狂う
狂ってしまう
レッドが私の中ではじけて熱い感触が中に飛び散る

指が解かれて

声の出ない叫びを笑う唇が深く塞いだ











…冷たい感触に、ふ、と何かが鮮明に頭によみがえるのを感じて、私は目を微かに開いた。
頭が、重い。
冷たい床。
髪を撫でる誰かの指。
「いつか、死ぬんだよなぁ」
「…」
レッド?
「どうせ、コイツも俺も…もうすぐ」
髪の中に落とされる指が、やけに心地よくて。目を閉じた。

「お前は俺が殺してやる…誰の手にもかけさせやしねぇ」

…この、独占欲の塊が。

目を閉じたまま。
私は動かない。

心の奥でつぶやいた言葉も、口にはしない。

口には、出来ない。
こんなこと言ったら、私がまるでレッドをうらんでないみたいじゃないか。
だから、言わない。

心の中で繰り返すだけ。



…君は私の手で殺してやるよ…





FIN

====================

ひでぇよ!やってるだけだよ!!(笑)
なんかここのところずっと小説書いてなかったんで、
「Hシーン書きたい病」に陥っております。
で、犠牲者はセルバンテスとヒィッツ、と(苦笑)
いーのかなぁ…
なんかね、ヒィッツって、人と違うところで吹っ飛びそうな感じがしたんで。
で、なぜか胸、と…(^^;
…エロシーンて、多少、経験したことそのまま書いちゃうんですよね…
ん?え?お?はい?なんか言いました私?