悩むね。いつも。
前にもこんな事考えてた気がする。
いや、アルベルトとのセックスについて考えると、必ず頭に浮かんでくる。

…もっと気持ちよくさせたい

ってね。
自分の技に自信が無いわけじゃないんだよ。
当然さ、私がしていることなのだから!良くて当然。ね、そうそう。
そうだよ。当然じゃないか。…当然
この指がね、そしてこの唇がね。唇がね…

唇?


…唇に、つい、と指を押し当ててみる。


この唇が?

指先を、唇でちょいと摘んでみて。
…別に気持ちよくもなんとも無いね。
唇って難しいもんだね。舌技には自信あるんだけどなぁ。
唇、か。

…気持ち良いってどういうことなんだろう。

快楽ってどうやって作られるものなのかね。

気持ち?神経?触覚だけじゃ絶対無理。
そう、気持ち。いわばシチュエーション?いや、こう言うとすごく軽々しくて嫌。
でも、やっぱり、気持ち。
あと、言葉とかも良くあるね。わざとエッチな言葉を言ったり言わせたり。
…面白くないねぇ。そんなオモチャみたいに遊びみたいに言ったり言わせたりより、
そうだな…
言わずにいられないほうがいい。

相手に、



 言いたくて仕方が無い、こんな言葉なのに言いたくて仕方ない!

 言わせたくて仕方ない、こんな言葉なのに言わせたくて、いいや、聞きたい、
 気持ちよくなるために、ただ己の欲望をもっと掻き立てるためにそれを言わせたい、聞きたい!



うん。

衝動的に発するもの?そうか、本能?いや!!!違う!

なんだろう、なんだろう。

なんだろう。


「…セルバンテス」


もっと擦ってとか、ねだりたくなる様な、
気持ち良い、って、君は気持ちが良いよー、って連呼したくなるような。


「セルバンテス!」


「え?」
「何をしている?」
「唇触ってんだよ。見れば分かるでしょ〜?ハイ!これ分かる?ここがクチビルね。」

指を触れたままだった唇に、ぽんぽんと指揮官よろしく目的地コードネーム『KUCHIBIRU』を叩いて

「うわあ!どう見てもクチビルだ!こりゃ驚いた!アンダスタァン?ミスターアーベル?」
「…阿呆めが」

あからさまに嫌そうな顔をして、アルベルトが私を蹴る。
アイタ。
そりゃね、私もキミがクチビル位分からない訳無いのは知ってるよ。
けど、言いにくいじゃない。君をどう善がらせようか考えてるだなんてさ。
…なんで言い難いのかね?こういうことって。
ああ、そうだ、やっぱり、言わないで置いて驚かせたいから?
…いや
カッコつけたいだけ

そう。私がすることは気持ちよくて当然じゃなくちゃ、いけない。
私はキミにとって気持ちのイイ存在であって当然。
…だろ?

だってキミは私にとって気持ちのイイ男なのだものね。

痛いくらい、苦しいくらいの気持ちよさを君は持っている。

正直……憎いよ






ふかふかのキングサイズ。
私とアルベルトの裸体は、今其の中にすっぽり納まってる。
乱した羽根布団はベッド下に引き摺り下ろして、私とキミの匂いごと。
だから、今、身体を覆っているのは、大き目のブランケット一枚。
それを二人で引っ張り合って掛けてる。
アルベルトは、セックス…彼が言うには「行為」の後に、裸でずっといるのは好きじゃないようだね。
私はどっちかって言うと、そのまま、熱が冷めるまで裸で居るのが好きなんだけどね。
私にとっては、それを味わって自分が冷えるまで、それまでがセックス。
アルベルトにとっては、射精までがセックス、って言う認識のようだね。
面白いね。人と言うのは。
難しいね、キミって男は。
難しいね、私って男は。

そうそう、唇。

あ、そういえば口淫してる時、って、ちょっと唇がこう、気持ちいいことがある。
自分の唇にもう一度指を当てて。
横に、そっとなぞってみる。
違う。
んじゃ、
指先を立てて、そっと唇に差し込んで。
指が乾いてるから、舐めた。当然滑りが良くなきゃ気持ちよくない。

それでから、もう一度…



そうそうそうそう!

ここだよここ、ねぇアルベルト、って何でそんな顔して私を見てるのキミは
えっと、ここだから、ちょっと自分の指を濡らして、アルベルトの唇の、そうそう、えーと、この辺
を、ん、唇のちょっと内側…あ、暖かい
っと、こんな感じで指を入れて軽く擦ったりとかすると、気持ちイイかも

「…っぬうう!」
「?」
「な、何をするか突然!」

あ。

見ると、アルベルトは目を白黒させてて。
あ?
ああ。
そうか、何も言わずに突然口に指突っ込まれて抜き差しされりゃ誰だって驚くよね。
これじゃ私まるで痴漢だ…ははは。

でも、どうだい?

「そのあたり、良くない?」
「だ、だからといって、突然人の唇に指を入れるやつがあるか!」

明らかに、アルベルトの身体、じーわじわと私から離れて行ってる。

「何で逃げるのさー」

ずる、と近づく。

「…」

ずる、と逃げるへの字グチ。

ブランケットから、ちょっと見えてる腰骨。



そういえば、私あの辺弱いんだ。気持ちいいって言うより、もう体中がビクンって跳ねちゃって、
一瞬パニックするような感じになるんだよね。
えっと
自分の腰骨の辺りを撫で回して、
違う、もっとオナカの方、ってもっと下…
…んー
「ぁッ…」
そ、そうそう、ここ!足の付け根の内腿のこの辺!
指先でゆっくりなぞる。
そこから内腿を通って、膝の方を狙って指…爪先にだんだんと変えて…
「…んッ」

「な…」
「ん?」
「な、何をしている」
「え?あ」

気が付くと、今度は遠くからアルベルトは食い入るように私を見ていて。
私も自分の指の所在に気が付いて、静止してアルベルトを見る。
アルベルトの顔を見て、そのまま、ブランケットに隠れた身体を目線でなぞって…
そうだ。
ここ

近くまで這って。
ここ。
腰骨、見せて
「セル…」
「邪魔、コレ」
「…おい?」
ブランケット引っ張った。
それはいとも簡単に剥がれる。
そう、この浮き出した腰骨。このラインから、ほら…
「…っ」
指でなぞりながら、アルベルトを見上げた。
瞼、微かに震えてる。
「…きもち、い?」
「…っく」
そのまま、内側までなぞって。
気持ち、良さそう。…良かった

安心して、指を離した。

「…」

今触れてみて分かったけど、アルベルトの肌って私の肌とちょっと感触が違うね。
もう一度、自分に触れてみる。
膝をなぞって、空いた片手でアルベルトの同じ箇所をなぞった。
やっぱり、感触が違う。
私の肌。つるつるしてのっぺりした感じ。
オナカから、胸。そっとすべらせて。
アルベルトは…
なんだか、ちょっと柔らかい感じがするね。
張りがあるんだけれども、なんだろう。…自分を守るための身体なのだね。
強い衝撃に耐えうるだけの。
オナカから、胸
隆起した胸筋が、深く上下してる。
息、してるんだ。深く。
ゆっくりと、そこに口付ける。
自分の胸には、口付けられない。
だから、自分の胸には自分の手の平をぐっと押し当てた。
動いてる。私も。

手の平でなぞりあげて、そのまま胸の先端を指でそっと摘むと、びり、って頭まで突き抜ける

アルベルトの胸に、私の快感の吐息。
自分の胸から外した指で、そう、さっき私が感じたときみたいに、同じ動きを指先が覚えているうちに
胸の先の尖りを

…指先に触れたのは、堅く尖った先端。

同じように触れたくても、触れた感触が違う

どうしよ

…一旦、自分の胸に指を戻して、何度か触れてみる。
「ん、っん」
感触。似てきた。
さっきみたいに摘んでもあんまり感じない。
じゃ、親指の腹でゆっくり押して、そのまま軽く押し上げる

「あっ…は」

あ、コレ間違いない

ね、アルベルト、キミのここも同じように…こうしたら

「セ、セルバンテス?…うっ」
「き、もち、いー?」
「…」

アルベルトの喉。
目の前にあるから、唇を近づけた。
口元の息の音が聞こえる。

舌を出して、そこをベロンと舐め上げながら
私の指。
…やっぱり、ここに触れたくなる。

アルベルトの上に這い蹲ってる私は、ケモノの姿勢で。
自分の股の間から手を入れてみて、
いや、こうじゃないかな、
背中の方から触ったほうがイイかも
と、手を戻して、腰骨から、そっと隆起をなぞって
「…ン」
キミがいつも、宥めてくれる場所へ。

ちょっと引き戻した指を舌先で舐めて、さっきの位置に戻して
指先をゆっくりと入れる。
「あ、」
アルベルト、見てるね。
待ってて。ちょっと待ってて。
私にも分からないんだ。

あ、入ってく

「ん」

まだ、大して何も感じない。
どうしたらいいんだろう。

指先だけちょっと入ってるけど、このまま入れてもしょうがない気がして
ゆっくりと抜き出し
「んんッ」
……。分かったぁ



ねぇ。



おんなじでしょ?



キミのここも、多分、こうして、

「セ、セルバンテス!待て、ま…」

抜くときが一番気持ちいい

「んううっ!」

ああ、同じだ
良かった
おんなじだ

うふふふ。よかったぁ

もう一回してあげるよ

「や、やめろ、おい」

おんなじ

「っは!」

「…気持ちい?」
「…」
「ね…」
「…っ…」
「…いつもキミは言ってくれないんだね」

わかんなくて、いつも悔しい思いをしているのは私なんだよ。
キミには悔しい思いをさせたくない。
だから、私は気持ちよかったら君にそれを伝えようと、
なんとか
…いや、いつも努力してるわけじゃない
努力なんて大層なものじゃない


ねぇ


気持ちよかったらさ?


「気持ちいいって言ってよ。」
「…喉が嗄れるわ」


「…え?」



「時にセルバンテス」
「な、なに?」
「…お前は、儂にこうして欲しいのか」
「え?」
「どうなんだ」



「…どうして欲しいのだ?」




そんなの。




真顔で




真面目に聞かないでよ
































「セルバンテス」


































「………………………して」



























「そうならそうと言わんか」
「うっさいバカー!」
「な、何だ今度は!」







言わせたいのは私のほうだったのに!
何で私が言ってるの?な、なに?何私、「して、」って、何?!
もう、馬鹿?私。ワタシバカ?!
もう馬鹿!アルベルト馬鹿!
キミねぇ!

「キミねぇ!」

「タワケが!!!!」

一喝。
びっくりして。
全部、吹っ飛んだ。

私をじっと見てる赤い瞳が、強く燃え盛ってる。

呆然と、ただ、其の瞳を見るだけ。

「…」

「儂かて試行錯誤なのだ。反面教師が己だけと思うとは驕逸千万甚だしきにも程がある。」

「…???」

ちょっと、言い回しがすごく遠いんですけど。
キョウイツセンバン ハナハダシキ?
ハンメンキョウシ?
反面教師って

自分?
私、自分反面教師にしてた?



………

…………………!!!!!!

「アルベルトキミ…!」
「煩い黙れ!」
「い、いや、あの、あのね?」
「う、うるさい!」
「あの、うわぁ、どうしよう、どうしよ、と、と、とにかく、ねぇ、ねぇ、」
「なんだ!」
「セックスしよう!」





噴出したアルベルトに飛びついて、私の体重でなんかグエッて言ってるけどまあイイや。






ありがとう。キミイイよ、スゴクイイよ。
「気持ちいいよ、アルベルト、君はスゴク!」
何笑ってるのさぁ、いいじゃない、本当なんだから、
笑ってないで、気持ちよくなろうよ、もっと。馬鹿みたいに。
ああ、もっと証拠を頂戴。
キミの証拠を、私にもっと。










「ったく、賞賛する気にもなれんわ」










ん?ちょっと、それ一体どういう意味…あ、そぅ…、もっと…













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コメント。
さて、最後の文句はどういう意味だったでしょう(笑)
やー、楽しかった。
5万ヒットの「つくばえ」から、ちょっと小説が書けない状態になってました。
暇が無いのではなくて、どう書いていいのか分からないというか(苦笑)
やっぱりこう、楽しめる関係ってのはいいですね。
肉体の関係だけではなくてね。どうにも楽しい。面白い。
笑えるって言うのではなくて、どうも、自分をこう、高めてくれる。広げてくれる。
そういう関係のもてる相手にやはり惹かれますねぇ…

ネット上にも沢山います。私がIEのお気に入りに入れて通ってる
サイトさんのオーナーさんは皆私が惹かれる相手様。
もう、なんだろう、其の感覚が欲しくてたまらないというか(笑)
手にしたいのではなく、感じさせていただきたい。
自分が頂くだけでは申し訳ない気がするのですが、
自分はそれになんか返せてるのだろうかと不安になりますが。いつも貰い得。

あ、あと、そんな相手と、感覚戦争(なんだそりゃ)をするだけでなく、
こう、ゆっくりとボンヤリと、
のたくたーっアラキモチイーて言う時間を共有できるのもたまらなくいいですねぇ…
おいしい紅茶とか、おいしいドラッグ的薬効スープを一緒に飲めた時とか(笑)ねぇ、ユキノ君?(笑)

クコ、大根、蓮の実、鶏肉、椎茸、棗、
コレをゆっくりと蒸して抽出したスープ。
薬効高いですよ…精神安定、血圧硬貨、精力増進(笑)
配合の量はナイショで…飲みすぎると、「激しく抱きしめて!今まさにジャストナウ!」って気分になります。
ちなみに、砂糖を入れると薬効が消えますので御気をつけを。漢方は面白いですね…うふふふ。