かったるい。
ずっとベットに寝ッ転がったまんまッてのは俺は大ッ嫌いなのに。
体の銃創なんてもう塞がってるとおもうんだけどな…俺は…
だけど、医者は動くなってウルセェ。いっそ逃げちゃおうかと思ったけど
ココの医者ってほら、俺達がかかるくらいだから勿論スタンド使いなわけで。
面倒だけど、収入が途切れるわけじゃないみたいだし…しょうがないから休養?
しょうがないから、なんだよな。
ズッケェロのやつもココの病院に入ってる。
眼帯なんかしちゃってさ、ありゃ男前あがってるよ。
俺は眉間に傷一つ?これは男前あがってるの?それともちょっとアホ?

しょうがないの連続だけど、一つ気に入らないこと。
ほら、気に入らないもんが来やがった。

「ハァーイ♪」

ほら。面倒だ。俺はあからさまにイヤそうな顔をして見せる。
「なんだよサーレー。あの時のコトは水に流そうや。な。ありゃお前が悪いんだから」
そう言って馴れ馴れしく俺のベッドの横にガラガラと椅子を引っ張ってきてドカンと座る。
「ミスタさん…あのですね。」
「何々?」
嬉しそうに聞くなっての。
「邪魔…なんですけど」
「エエエーーーッ!つれないじゃん?なによその台詞。
そんなコト、この俺に言って良い訳?」
「……。」
この人はいつもこんな調子で俺を構ってくる。
確かに、邪魔して金を横取りしちゃおうかなって、そう言う策を練ったのは俺達だし、
確かに迷惑かけたのかもしれないし、
でも俺はアンタにバシバシ銃弾撃ち込まれてそれなりに痛かったんだ。
50%50%ってとこだろうよ…
なんだよ、ジョルノとか言うのがボスになった途端にエラそうに。
エライんだけどさ、実際。
「俺がなんでこうやってココに来るかわかってるんだろ?」
「わかりませんね」
「本当に?マジで?頭悪いんじゃないのお前、じゃなきゃ相当なボケ?」
そうイイながら俺の頭をガシガシと触る。
なでると言うより、掻き回してるような、だから俺の頭はこの人の手が離れると、
…ぐちゃぐちゃ。
「……ッ…。ムカツク…」

本当になんでこの人が俺にかまうのか俺は想像がつかないから、
この人が言うように、俺は本当に頭悪いのか?
認めるかそんなモン、この人の勝手な理論だ。
勝手な意見を人に押し付ける人間の方がよほど頭が悪いんだ。だから俺は悪くない。そーだ。
そう思ったら、なんだかこの人が本当に馬鹿に見えてきた。
「サーレー」
「なんすか」
「本当にわからねぇの?」
「仲間に引き入れようってんですか?」
「ブー」
ムカ。じゃなきゃなんだってんだよ!
さっさと帰れよ、いつもそうやってくだらないこと勝手に話して、
人馬鹿にするだけ馬鹿にして。
俺がなにも出来ないのわかってるくせに。
パッシオーネ全体から狙われる状況なんて、俺だって願い下げだから、
だから、こうやって大人しく(?)話に付き合ってやってるんだ。
あの時俺が、失敗してなかったら…
って、そう感じるってことは要するに、俺は負けを認めているというのか…チッ…
「そろそろわかってくれよ、鈍感なやつだなー」
「わかりません。わかりたくもないですね」
「お前ネコ好き?」
「は?」
「好き?」
なんなんだ?この人。コロコロ話題かえて。
ま、まぁ犬よりは猫の方が好きだけど、犬はほら、こう、
へつらってる感じがするから、生きる為に人にへつらうなんて、なんかカッコわりぃし、
そいつらがそう選んで生きてるんだから文句はいわねぇし、
それなりに可愛いけど、俺は猫の方が、やっぱり、ほら、イイとおもうんだけど、
って、詰まるところ。
猫なワケだ。
そんなこと考えてたら脇腹を突っつかれた。
「ひゃああっ!」
「早くー答えろ、答えないとお前は死ぬことになるぞ」
「そんな極端な!」
「笑い死に。カッコワリー。ほら、早く答えろ」
ツンツンツンツン。必死でこらえる俺を完全に面白がってる!
「ね、猫好きですよッ!やめてくださいってば!」
そう俺が叫ぶと、その手がゆるんだ。
にっこりと笑って一言。
「そっかー、良かった、それなら俺も満足だし、万事オッケーだよね」
「?」

コンコン。
ココは一人部屋。看護婦(と言うにはもう年齢が程遠い)が
ノックの返事も待たずにズケズケと部屋に侵入してきた。ココの看護婦はみんなこうだ。
「ハイよ、検温だよ」
そういうと、俺に向かって体温計を投げつける。
そんでから、カルテみたいのをごそごそし始めた。
体温計を受けとって大人しく計っていると、そんな俺を見てミスタさんが吹いた。
「なんですか。」
「さー?なんでしょうね」
「んじゃ笑わないで下さい」
「……イイこと考えたんだけど、どう?」
「……またくだらないことでしょう」
「そう、かもな、でも、俺的には、かなりワクワクする」
ニヤニヤ笑うだけのこの人に、なんだか気持ちが悪くなってそっぽを向く。
むくり。
なんか妙な感触を。
右腿のあたりに感じて…
「……!」
この人の、冷たい手が。見えない角度からもぐってきていると言うこの状況がはじめて掴めた。
看護婦はまだなにかカルテを弄くっている。
まさか、と言う顔をした俺にウインクを返すと、冷たい手がさらに冷たくなった。
肌を、触ってる。
脇腹の方から、冷たい感触がするりと…
「…ミ、スタさんッ…」
なるべく小声で。たしなめたつもりだったのに、なんでこの人は舌なめずりなんかするの?
まって、ちょっと待って、俺マジで困る、これは冗談なのかなんなのかわからないし
そもそもこれはなんなんだ、邪魔してるのか?ふざけてるんだよな?
で、なんで俺は怒らないわけ?声出して何すんですかッ!とか言えばイイんだ。
「……」
声は、出ない。なんで、なんでだよ…
俺のことなんかしらない風にあさっての方向に顔を向けて、ニヤニヤしたまま。
そのまんま、その人の手だけが俺の身体を触る。
今、ビクっとしたのは冷たかったから。
クスリ、と、ミスタさんが笑った。


「なーんだい、傷の治りが悪いから微熱が出るんだよ、もうちょっと体力つけな。」
「は、はぁ…」
そんなんじゃないやい。この人が妙なことするから、
だから、って、なんで熱が上がってるんだよ!
「体力つけな、だってさ。」
手を突っ込んだまま、ミスタさんがそう言って俺のほうを向いた。
「どうだった?」
……聞くな。


看護婦が出ていった後、どんな言葉でののしってやろうか考えた。
パタンと閉じたドアを確認して、
それからちょっと彼女が遠くに行くまで俺は待ってから、それから言うことに決めた。
特に言う台詞も思いつかなかったけど、とにかくちょっとの間待った。
俺が口を開こうとした途端、それより先に口火を切ったのはミスタさんだった。
「お前、俺のネコになってよ」

そう言った後。
俺の体温で温まってきていたその手が。
そっと服の奥のほうに指し込まれて。
そこでやっと理解できた。馬鹿なのは俺のほうだったのかもしれない。
「あんた…俺にそんな期待してたんですか…?」
「駄目。か?俺はかなり期待してた」
「それは俺がそう言う風に見えるってことですか」
「そ。オメーが誘ったの。」
そんな…俺、そんなモノ欲しそうだったのか?
そんな…ってことは俺いつもそう見られてたわけ?
「だから、覚悟しろよな。」

俺は…とりあえずうつむいた。何も見たくなくなって。
自分さえも見たくない。
「欲しいの。俺が欲しいんだから、お前抱かれろ。イイな?」
「……はい…」

そうか、そう言えばこの人はどうにでも出来る権利があったんだ。
俺は、未だなんの力も持たずに。
なにも出来ずに、こんなところでぼんやりしていて。
だから、この人にこんなことされて、
だから、こんなに息が乱れて、
誘ってたのが俺だって、この人が言うからそうなんだ。
俺は、既にもう、あの時に。この人にすべて撃ち抜かれていたって、そう言う段取りなのか?
人が上にいる限り、選択肢がない…

いつ開くとも知れない扉を前にして。
この人に身体中を探られる。
傷跡も、何もない場所も。
愕然とした気持ちのままで。とにかく抱かれていればいいんだと言う、そんな気持ちで。
おもむろに其処を掴まれても、出たのは細い悲鳴で、罵倒なんか出てこなかった。
「イヤじゃねぇのか?」
「……知ってて言わないで下さい」
「それは受け入れてくれたと解釈しても良い訳?」
「…アンタの位置は、選択肢をすべて消せる位置にあるから…」
「…ふん」
つまらなさそうにミスタさんが鼻を鳴らして。
俺の目の前からその顔が消えたと思った途端。
「あ…ッ!ぐ…」
前触れもなく強い力で指を押しこまれて。
痛みと驚きに身体が跳ねた。
俺の反応なんてどうでもイイ、そんな感じで奥まで指しこまれて。
そのまま、其処を探られる。
「…ッ…ン…っ!」
「痛いか?イテェよなー、無理に入れたんだモンな。これが俺のアレだったらもっといてぇぞ」
「…」
なんて、人なんだ。
漏れる声と高くなる息を手の甲で押さえつける。たいした痛みじゃない、
耐えなければならない、俺はこの人にとってそう言う位置になってしまっているんだから。

「あ、あのな…」
ミスタさんの息が上がっている。緊張しているような、焦っているような、そんな息と声で。
「言っちゃなんだけどな、俺はこうやって、こーして、お前をな、
 無理やりもって行きたいわけじゃなくってな、…っ、…だからな!」
覆い被さってきたミスタさんの唇に、息を塞がれて。
キスって言うよりなんだかもう、押しつけられたって言う感じで。
なんで、なんでこの人こんなに焦ってるわけ?焦ってる?
すぐに離して口元で、大きくため息をつかれた。
そのまんま、ちょっとの間。
不意に、俺の中で動く指に感覚をもって行かれる。
探し当てられて…ゆっくりと其処を撫でられる。
「…う…ぁッ」
小さく漏れた声をそっと耳で受けとめられて。
ミスタさんの頬が俺の頬に触れた。
俺の中のその1点を優しく撫でつづける。
「……ここ、イイんだよな?」
それに答える声は俺にはなくって。
イイと言えばいいんですか?それが満足行く答えなんですか?

「そっか…くそ…俺は…そう言う位置の人間になっちまってたんだな」

小さく耳元でそう呟いた声が。なんとなく掠れてて。
俺はとにかくその指でもうかなりの極限まで来てたから、
すぐにはその言葉が理解できなかったけど。
俺が何かを言おうとすると、其処を強く嬲るし、もう、そうしたら俺は音しか出せない。
「俺がいつかお前と名前で呼び会えるようになれば、そうすりゃ多分、イイのに…
なぁ、サーレー…?」
「あ…ッ、な…んですか…?」
「イヤか、やっぱり?」
「……わか、ん、ないです…」
攻めながら質問されても、まっとうな答えなんて出来るわけがない。
「弱いトコ、もっと探してもイイ?」
「…え?…っ、あ、うンッ!」
声と共に俺の耳の中まで柔らかい舌が伸びてきた。
じわっとした感覚が其処からまきあがって、なんか下半身まで走っていっちまう。
もう、駄目、もう、押さえきれない。

「サーレー、せめて今だけでいーから、俺のこと猫だと思って?」

俺だと、思わないで。
あんたの声はそう言っていた。
自分を無くして。それでからヤりたい。
「俺はもう、俺はもう、そう言う風に見られてしまうならさ。
俺がステイタスになってしまっているなら
 もう、俺はもう、誰も気持ちよく抱けないんだな…」
「…?ステイタス…?」
「そうさ、もう俺は、ミスタって言う名前だけでお前さえもこうやって凝固しちまうんだろ?」
「…………」
「これからきちんと抱くから、ちょっとの間だけ俺の名前忘れてくんない?」
「イヤ、です…」
駄目です。
そんなん出来ないですよ。
だって俺はアンタをもうミスタだと思ってる。そしてそう信じてるしそれは揺るがない。
揺るがせたくないし、それを忘れてしまったら俺のこの傷跡の意味も、
俺の、このこだわる気持ちも、すべてなくなってしまうから。

「駄目、か、やっぱ…んじゃ俺、お前抱けないよ…」
「頭悪いんですね。アンタ意外と。」
「な、なんだと?!」
「あんたのステイタスを鼻で笑う俺がいるからココに来たんでしょ?」
「……お前意外と勘が…」
「それに…このままほっとかれたら俺絶対ムカツキますし」
「え?」
「…これ以上、言えってんですか…これ以上…」

あんたかなりきっとかなりの大馬鹿モンだ。
アンタに馬鹿にされ続けて来たつもりだったけど、きちんと俺は鼻で笑い返してた。
いつでも馬鹿にしてた。だってこの人は多分、
多分…
「俺お前に惚れたわ」

言われた。
もう、抱かれるんに理由なんて必要ない。そんなことが言えるんだったら。
それ以上は俺から言うことなんてない、あとはまた馬鹿にされてまた鼻で笑うだけ。

いーや、なんか今スゴイ格好でミスタさんと繋がっちゃってるけど
俺なんか声押さえきれなくなっちゃいそうだけど
扉はそこにすぐそこにあるけど
いーや。いいや。
俺はアンタのネコにはならないし、アンタも猫じゃないし、
そんなこと自体俺は鼻で笑っちゃうし
アンタがどんなにそう言う夢見たって俺は現実的だから。
だから、イイや。

からかわれてるんじゃないって、わかったからイイや。

猫になる権利は猫にだけ。
俺等の権利も俺等だけ。

俺もあんたも頭が悪いから。
だから、そんなことだけでも大事にすれば?

扉は開く為にある?
それとも閉じる為にある?

閉じた時に、悲しくなければ…閉じる為でも構わない。


それで、そう、構わない。



んじゃない?どうよ、ミスタさん?



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んー、ミスサレ書いてみました。どうだかねー(笑
ギアサレとかズケサレとかの小説とは
全く関係のないところのミスサレだと思ってやってください(><;
二人とも子供みたいなんで、なんだかまた新しい雰囲気が生まれてウレシイです♪
ズケサレの時はサーレーがちょっと大人びてたしギアサレのときは、
また違った雰囲気のサーレーだったし、
相手に寄って人間って変わるものなのかもしれないですねー
そうか、今まで出会った人間が自分を作る要素になるなら
出会った人間はみんな自分の大切な一部になっちゃウンだ。
それがどんな相手であっても、傷つけられても、優しくされても、
多分そうなんだ。
相手が作ってくれた自分って、それさえも大切に思えますね。
もっともっといろんな自分を作ってくれるいろんな人にめぐり合いたいなぁ
って。なに語ってんだ僕チンは。