気の抜けるような冬休みが続いている。
…先生にも会えないわ。
学校へ行ってもいいんだけど
今日は部活も休み。
することがないの。

隼人先生に会う以外は

それだけのために学校に行くなんてー
するわけ…
大有りよ。
年も明けたことだし
なんだかめでたいし
もしかしたら先生いないかも?
お家でごろ寝かなぁ。

独りで?(嘲笑)

とか言いつつ、私の足はもうすでに高校の前。
いるだろ。
絶対いるだろ。

寂しい独りモンが

暇をもてあまして来ているだろゥッ!


人格崩壊してる?
うふふ、ソレが恋する乙女ってものだわ。

そっ、と体育館を覗くと。
ドンピシャリ!古い?るさい。

なに、やってるんだろう。
隼人先生は、いつもの赤いジャージで
なんか、体育館のど真ん中に座ってる。

ジャージ着てて、アレだけ身体の線がわかる人も珍しいわよね。

…こっちに背中向けて。
「先生!」
突然呼んでみる。
と、漫画みたいに体中で飛び上がった先生が、本を撒き散らしながら
私を振り返った。
ソレ、エロ本じゃあるめぇな。

「い、委員長か!驚かすなよびっくりしたなぁ驚いたぞ本当に!」

驚かしたのよーだ。
「先生、何読んでるんですか?」
「あ、いや、いやいやいやいや、別に!」
「見せてください」

ここでエロ本だったら、
ソレがきっかけで先生となんかあっちゃったりして
くわー!キャー!ひえー。

ソレモヨシ。

先生が拾い集めてる本を一緒に拾ってあげるフリして。
タイトルは、っと…
…永井豪かよ!
まんまだなオイ。
「先生も漫画読むんですねー」
「あ、まあな、わはははははは」
笑って誤魔化すな。
本当にもう可愛いんだからぁ。
うふふふふあはははははは。
ガキ。
「先生は難しいこと苦手なんでなぁ」
「知ってまーす」
「え?」
「イイエー☆」
「???」
ニコニコ、とお互いに無意味な笑顔をかわして。
しかしよく考えたら、この年明け早々体育館で漫画読むか普通。
「先生暇なんですか?」
「身体がなまるからなぁ、休みの間ってのは」
ソレ返事になってないです。
「暇なんですか?」
優しい私はもう一度聞き返して。
「おお」
暇なんだ。
「明日も暇なんですか?」
「そうだな、明日は朝起きてジョギングに行ってストレッチして」
「…」
脳みそまで筋肉!
「そんでから、暇だなぁ」
「それじゃ、初詣ご一緒しませんか?」
「へ?先生が?委員長と一緒に初詣?」
こんな時まで委員長って呼ぶんですね…
つっても私の本名何よ。知られてないわよ全然。
つぅか、熱血隼人ってなによ。すごい名前だなオイ。
立ち上がって私の前に立った先生、すごく背が高くて。
調べによると、191センチ。まだ伸びてるという情報も最近入手した。
腕まくりしたジャージから伸びてる腕、綺麗な筋肉。
タマラン。
…っと、よだれがー。

「駄目ですか?私まだ初詣行ってなくて、一緒に行く人もまだ…」
「よーし!なら先生と明日行こう!な!走っていこう!」

走るのかよ!

さわやかに笑う先生の笑顔に、私は流されて
そのまま「うん」と言ってしまいました…
走るのかよ。

時間と場所の約束を取り付けて(もちろん待ち合わせは校門前)
私はそのままそそくさと家へ帰って。
ふふ。
驚け。
さっきちょっと触った隙に、本にネットで入手したエロ画像はさんで置いたの。
どんな顔するかなー。
そそくさと家に帰った
フリ。
して、覗き。

また漫画を読み始めた先生、
そろそろ
気づいても、
いーかなー
「どわあああああっ!?!?」
本、またぶん投げて。
気づいた気づいた。
真っ赤になってる先生、やっぱり大好き。

いつか、ラブラブに、なれたらなぁ、って、私、少しゆがんでる?