ご近所ジョジョ物語
第8話・発見
                       

  

???:いにゃあああああぁぁぁああいあういおあぎえええ!


奥の部屋から絶叫が響く。
ものすごい声にビクッとするミドラー。
それに引き続き、大笑いする声。笑ったのはジョセフ医師だ。


ミドラー:ど・・どうしたんですか?!


そう言って立ちあがると、ジョセフが扉から顔を出して笑った。

ジョセフ:はっはっは、うるさくてかなわん。
     外れた関節を入れただけじゃよ、無理矢理な!
ミドラー:む・・・無理矢理ですかー?!
ジョセフ:そんなに驚くことでもないだろう・・。ただそれだけじゃよ??
????:いくらなんでも、ひでぇですよー!!
ジョセフ:おいおい、まだ動くな


そう言いながらまた引っ込む。
その時ホルホースが、だるそうに目を開けた。


 ミドラー:ホルホース!!!
ホルホース:・・・・ん・・・?ミドラー・・・・一体・・・・。
 ミドラー:あの人形野郎に刺されたのよ!!むかつくったらないわ!!
ホルホース:・・・デーボに・・やられちまったな・・・。


ホルホースが笑う。
首を傾げるミドラー。


 ミドラー:なんで怒らないのよ??
ホルホース:売られたケンカを買っただけだろうが・・・・・。ッッつーーー、痛てェ・・・
 ミドラー:だってだって・・・ホルホースが・・・死んじゃうかと思ったんだからぁ・・・・!!!


次第にミドラーの顔が泣きそうにゆがんでくる。
慌ててホルホース、


ホルホース:お・・おいおい・・・大丈夫だ生きてるから・・・な??
 ミドラー:やーーーー!もうバカーーーー!!
       めちゃめちゃ心配したんだからねー!!
ホルホース:・・・ありがとうな。
 ミドラー:・・・・・・え・・・
ホルホース:ありがとう、ミドラー。


横になったまま、ミドラーの手を触る。
突然おとなしくなってしまうミドラー。
躊躇しながら、その上に自分の手を重ねる。


 ミドラー:・・・・・よかった・・・・・。


ホルホースとミドラーの目が合う。
二人が顔を寄せようとした、その時。


 ????:ンッつぐうェぁぎゃーーーーーーーーーー!!!
ホルホース:っ・・・・・・・ぐ・・・なんだぁ?!せっかく人が・・・
 ミドラー:ここ病院なのよ・・・もう一人の患者の声らしいんだけど・・・。
ホルホース:雰囲気・・・ぶち壊しやがって〜・・・
 ミドラー:えへへ、でも嬉しいな・・・ワタシとキスしようとしたでしょ?
ホルホース:・・ミドラー・・・・・・。
 ミドラー:嬉しいよ、ホルホース・・。アタシ、アンタならイイかなって・・。
 ????:ンごうえあーーーー!



がっくりするホルホースとミドラー。
ものすごい声はまだ続いている。


 ミドラー:せ・・・先生、平気なの〜??!
 ジョセフ:あー、うるさくてすまんな・・・ッと、もういっちょ!
 ????:もーーーやめてーーーーーーって・・ふぎゃーーーー!!


笑い出すホルホース。つられて笑い出すミドラー。
ジョセフまでもが笑っている。


 ????:ひ・・ひでえや、他人事だとおもって!
 ジョセフ:わめくなぃ。ホレ、これで終了じゃよ、お疲れさん。
 ????:・・・・・・


静かになる奥の病室。
そこからジョセフが出てくる。
ニヤニヤと笑いながら、腕を鳴らしている。


ホルホース:世話になったようですね・・・。
 ジョセフ:ああ、もう気がついたのか。やっぱり若いのぉ。
ホルホース:一体向こうのヤツは・・
 ジョセフ:なんだかな。体中脱臼してブラブラしていたんじゃよ。
 ミドラー:・・・・い・・・・痛そう・・・・・・。
 ジョセフ:まったく、どうしょもない奴じゃ・・
ホルホース:・・・と・・ミドラー・・。
 ミドラー:なに?
ホルホース:ちょい話があるんだが・・。
 ジョセフ:ンじゃワシはあっちのほうへ行こうかな?
 ミドラー:お気遣いすみません・・。


ジョセフは手を振りながら、奥の部屋へと戻っていった。


ホルホース:ところで・・
 ミドラー:ど・・どうしたの・・?
ホルホース:依頼の件はどうする?大幅に遅れちまったが・・。
 ミドラー:・・・
ホルホース:俺は何をしたらイイでしょうね?
 ミドラー:・・・デーボは・・・・
ホルホース:・・・・は・・・?
 ミドラー:もう、いいわ・・。
ホルホース:・・・何故・・?
 ミドラー:・・・だって・・
ホルホース:ん?
 ミドラー:あの娘見たら・・何も出来ないわよ・・。


そう言って困ったように笑う。
その頭にホルホースが手を乗せた。


ホルホース:前言撤回だ。
 ミドラー:・・・・え???
ホルホース:あんたは俺と恋をする。一生に一度のな。
 ミドラー:・・・あ・・・・・・っ・・・・・


恋が出来ないと言われたときのショックよりも大きなショックだった。
思わず、声がうわずる。


 ミドラー:ワタシ・・・恋できるの・・?
ホルホース:するつもりがなくてもさせてやるよ
 ミドラー:・・・ホルホース・・・・・けど・・・・自信ないよ・・・私今まで・・。
ホルホース:今までは関係ない。俺が許す。だから・・
 ミドラー:信じていいの・・?
ホルホース:いいさ、俺が保証する。


ミドラーが泣き始めてしまう。
困ったように頭をなぜくるホルホース。


ホルホース:よく泣く子猫ちゃんだな・・


と、気付くと、奥の部屋の扉の隙間からのぞいている目が。


ホルホース:・・・・・・っ・・・・・せんせえ・・・あんた〜〜〜〜〜・・。
 ミドラー:え・・?!や、先生?!なんで覗いてるんですかー!!
 ジョセフ:お、見つかっちまったか


そう言って笑いながら扉を開く。
もう一人覗いていたようだ・・・・
って、その一人は・・。


 ジョセフ:いやあんまりこいつが気にするもんでな、一緒に覗いておった。
      すまんすまん。気にするな!


ホルホースがあんぐりと口をあける。
ミドラーもぽかんとしてみている。
ジョセフが変な顔をする。


 ジョセフ:・・?どうした?


ホルホースが、やっとのことで、扉の向こうを指差して、言った。

 
ホルホース:あ・・・あ・・・アレ・・・・・・・アレッシー・・・・・・


まさしくジョセフの後ろにいたのはアレッシーだ!


 ミドラー:探したわよ、アレッシー!!!!
アレッシー:ヒッ・・・・・・、まさかぁ?!
 ミドラー:年貢の納め時よー!


そう言って飛びかかろうとする・・・!のを、紫色の植物がさえぎる。
アレッシーが逃げようとするのも、それによって阻まれていた。


 ジョセフ:ここは病院、ここで騒ぐことは許さん!
 ミドラー:だって、先生!!
 ジョセフ:だっても糞もありゃせん!わしの病院をなんだと思っている!?
      なぜわざわざこう言った所に居を構えていると思っている?
      分からん様なヤツだとは思わなかったがな?
 ミドラー:う・・・で・・でも・・・・
 ジョセフ:もしそれでもやるというならば、まずワシが相手じゃ。
 ミドラー:・・・公務執行・・・・・
 ジョセフ:ワシは知らんな、そんな法律。
      患者を守るのが医師の役目。法律では人間は生かせない。
ホルホース:・・・・・いうねぇ、・・やめときな・・ミドラー・・。
 ミドラー:分かったわ・・ごめんなさい・・興奮してしまって・・。
 ジョセフ:そもそもこいつは何をやったんじゃ?


またまたがっくりするホルホースとミドラー。


ホルホース:知らないでかばってたんですか??
 ジョセフ:誰であろうと患者は患者じゃからな。
 ミドラー:連続暴行魔の正体よ。この、腐れアレッシー!
アレッシー:・・・・・・・


うなだれたまま、動かないアレッシー。
アレッシーとホルホース達を見比べるジョセフ。


 ジョセフ:本当か、アレッシー?
アレッシー:・・・・記憶がほとんどないんですが・・・・多分・・・・・・。
 ミドラー:よく言うわ・・。
 ジョセフ:精神病を患っている可能性は?
アレッシー:・・・すみません・・・本当に・・・酒を飲むと・・つい・・・俺・・・。
 ジョセフ:酒乱か・・・
ホルホース:酔っ払いでも裁かれるんだろう?
 ミドラー:当然よ。
アレッシー:すみませんーーーー!!俺はぁあぁぁあぁー!
 ジョセフ:落ちつかんか。別にどうなるわけでもあるまいに。
アレッシー:でももうおしまいだーーー!!
 ジョセフ:酒乱というのは、ある意味精神障害じゃからな、罪にならんこともあるかもな?
アレッシー:ええっ!?!??!
 ミドラー:そうなんですか?!
 ジョセフ:あるイチ意見として言ったまでじゃよ。


そう言うと、奥の部屋のアレッシーに近づく。
床にへこたれているアレッシー。
ジョセフが、言う。


 ジョセフ:ある程度の理由は分かっているんじゃろう?自分がなぜ酒を飲んで暴れるか。
アレッシー:・・・・・・・
 ジョセフ:分かっているようじゃな・・・・


ジョセフがそう言うと、アレッシーははじめて顔を上げた。
泣きそうな情けない顔をしている。


アレッシー:実はホストクラブで・・・。
ホルホース:金でもぼったくられたか?
 ミドラー:なんで男がホストクラブ行くのよ。
ホルホース:あ、そうか。
アレッシー:あの・・勤めているんですが・・。
ホルホース:はぁ?!マジ?!いや、あ、失礼。
アレッシー:そこでまともに仕事が出来なくて・・・・・。
ホルホース:要領悪そうだもんな・・。
 ジョセフ:いちいち突っ込まんでイイ
アレッシー:なんか情けなくって、俺・・。
 ジョセフ:で、酒を飲んで、そう言うことになっている、と。
アレッシー:本当にすみませんんんんっ〜!!


あまりにも何度も謝るアレッシーに、溜息が出る。
ホルホースも、あさっての方向を見てしまっている。


 ミドラー:なんか・・・・やる気が失せるなぁ・・。
      もうちょっとこう、悪そうな、キチガイみたいの想像してたんだけど・・・・・・・・。


その言葉にさえも謝るアレッシー。
もう、自分が情けなくてしょうがないと言う顔をしている。




その顔を見て、全員が同時に大〜〜〜〜〜きな溜息をついた。


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