★か★
これを読まれる方にココでご注意!
けんたんというのは、かたらが友達と話している間に出来ちゃった
猫耳化身長25センチ程度の、KENちゃんです〜〜vv
そんなキャラでもよろしければ読んでくだたい。(><



「蚊ぁ」


ぽて。
ふいに腕の後ろに小さなくぼみ大のミニ圧力を感じてふりかえる。


「はいどぅ、蚊ぁやで」
「はいどぅと違う、ハイド」
「わーとるがな。ほらほら、見てみい、ここ」


ぷにぷにと二の腕の後ろに柔らかいミニ圧力。
俺の半そでのすぐ真下を、けんたんの指がチマチマと突っついてんのやろ。
最近この感触にも慣れたなー。
けんたんのゆび指すその辺りを首をそらして覗きこむと。
ちっこい黒いもんが俺の腕にくっ付いてて、恐らくメシの最中。


ぺち


「あー、なにすん」
「蚊、叩いたんや」
「あーあいたた」
「ぶつかって無いでしょ、嘘ついてもなんもやらんで」


最近こんな感じでよく蚊には悩まされてる。
この控え室、蚊が多いねん。
テっちゃんが蚊取り線香なる懐かしいものを持ってきて焚いてんけど
なんや俺達の服が線香臭くなるだけで、一向になんとも被害は縮小されませんなー。
散乱してる机に肘をついて背を向け、パイプ椅子に座って。
机の上を散らかしたの?そんなんモチロン、けんたん、や。俺ちゃうで。多分なー。


「なんで叩くん」
「蚊やもん」
「ハイドは吸血鬼好きなんになんで叩くん」
「はぁ?」


なにを言っとんのや、と覗きこんだ俺のヒタイにもミニ圧力。


「蚊ぁは駄目なん?」
「駄目や、虫やもん虫。吸血鬼は誇り高い紳士やぞ?」
「蚊ぁは虫なん。」
「そうや」
「そーかアカンのか。理解したで、オーライや」


そう言ってけんたんは俺の額からちまこい指をはずして、
近場にあったアーモンドの皮をむき始めた。
先っちょの方をカリカリカリカリと地道にかじって、
少しむけた皮を持ってぴろーん。
けんたんによると、暇な時のマイブームっちゅうてた。
まぁ、むくだけむいてそのまんま置いといて山積みになってんけどな。
俺が体勢を立て直して、煙草を咥えて火をつけると、ものほしそーにじっと俺をみとる。

煙を目で追ってたら、背後からまさに「てちてち」と言うより表現のしようのないミニマムな音がして…

来たな、と思って手に持ってたタバコをけんたんの届かないところへ遠ざけて、オアズケ、や。

「なんー」
「タバコすうたらアカンやろ、けんたんは子供やねんから」
「ちゃうやん俺成人やん大人やんものごっついセクシーな大人やん」
「あーアカンアカン、セクシーでもタバコは駄目なのである。」
「これやる言うても駄目?自信作やで!」

ピ!と振り向いた俺の目の前に綺麗な真っ白なアーモンドの粒。

「お、すっご、綺麗にむいたなー」
「やろ?!」
「すごいなー綺麗やなーエライでーけんたんなーでもダァメ」
「…ハイドはー、」
「なんよ、けんたん?」
「タバコも大人もアーモンドも蚊ぁも虫も駄目なんやなぁ。」


なんかしらんけど、俺今むっと来た。
ムッと来たんで、けんたんの持ってる綺麗なアーモンドをつるりと奪う。

「あーなにすん!宝モンやで!」


そのまんま舌を出してからかってやろうと思ったら。
に、とけんたんが笑ったんで、俺メッチャ驚いた。
そんでもってけんたんの言葉でもっと驚いて、タバコ落としてもうたんや。

「欲しいならやるから大事に食うてなー」

にこにことウレシソーにそりゃもうウレシソーに笑いながら、気まぐれけんたんが俺を突っつく。
スカされたような気分で、なんかもう、俺気持ちのやり場って言うか、
そもそも俺の気持ちはどこに行ったのかなんやらよう解らんようになって。
床に落としたタバコをノロノロと拾い上げて、一呼吸。
ひょいと見ると、けんたんはギターの弦を一生懸命に引っ張ってた。

ふぅ、と溜め息をついて。
わかっとんねん。ケンちゃんもけんたんも同じくらい気まぐれやねん。
小さいからってなめたらアカンねん。
ようわかっとんねん。
短い手足で、ようけ走るけんたんが、テーブルの上を行ったり来たり。
必要なことも必要じゃないこともひっくるめてみんな、
テーブルの上でけんたんと一緒にメッチャクチャになってて。
あーあ。今日は、けんたんの不戦勝やなあ。

ぺち。

二の腕にちまこい衝撃。


「?なん?」

にまっと笑うけんたんと、誇らしげに俺にむけた小さな手。


「蚊ぁ。」


「エエんかいな、叩いてもうて」
「はいどぅの蚊は、エエねん」
「そうなん?」
「そうなん。」


…そうなん?
もう一度言うて、俺の苦笑い。ほんま、今日はけんたんの不戦勝やなぁ、て。

ふにふに、と俺の半そでが動いて。


「……っ、あー!拭いたな!?」


…完全なる…敗北でございます…ハイ、けんたんの勝ちて…あーもう…衣装やのに…あーもう…はははは。

はー。

けんたんのくれたアーモンドは、やたらと甘くて、美味かったんや。
俺は最後の抵抗として、美味かったとは言わんねや。

甘くて美味いアーモンド。

俺の目の前に山積み。

山積みのあまーいアーモンド。

けんたんの目の前に山積み。

ショウセツTOP