★崩落★

「ちょっとなぁ。悪いかと思ってしなかったことがあったんだよなァ」

まだ、俺に悪いと思ってる部分があったんですねェ。
それに驚いて、そして呆れて、そして、エ?と耳を疑う。
これ以上のことが、まだ、アンタの中にあったんですか勝也さん。

「ぶっかけと、騎乗位、あ、そうだな、
 マス掻かせて一人でイク所も見たことがねぇな」

真面目に思い出すようにその独り言を進める。
とうの俺がパニックになってて茫然自失としてるのは
もう、その目に入ってネェようで。

「どれがイイ?どっちにしろ全部するけどな」
「か、勝也さん…アンタココに何しに…来たのか…わかって…?」
「鍛えなおすんだろ、己をよ。」

そう言って俺を引き上げて立たせる。
腰なんか、まともに立ちゃしませんよぉ。
フラリとした俺の腰を掴んで、ニヤリ。
そのまま担ぎ上げられた。

「ココは、ダイジョウブか?」

俺を持ったまま、勝也さんが移動する。
肩の上で俺の身体がポコポコと跳ねて。
その問いに、周りのうっそうと茂った隙間のない木々を見る。

「ココは、地盤が固そうですから…」
「んじゃココでするか」
「は?!」
「自分でするか?」
「へ?!」

下ろされて、勝也さんに覗きこまれる。
上気した顔が熱くなるのがわかる。

「俺にも、色々教えろ」

目の前でそう言った唇が、冷たい俺の唇に触れて。
俺にも、あなたに教えてあげられることなんか、あったんですか?
自分は、まだお役に立てそうですか?
言いたいけど、言うわけがない。
そんな女々しいことなんか、出来やしない。

外された口元で。

「もっとお前の乱れるトコが見てェなぁ」

優しい声で酷いこと言われて、
それに答える俺は恐らく包む込むような気持ち。
駄々をこねる、わがままを言う、そんな子供をあやす。
ねだられて、仕方なく肌をさらす。
照れるけど、この子が喜ぶから、それがうれしいと感じたなら。
自分に忠実に。
ねだられて、自分を愛撫する。
恥ずかしい気持ちを隠して、
あんたが見てくれるこの空間が一寸あったかいから我慢。
イキそう、と思った時に、勝也さんの身体が俺の目の前に立った。
「ココで、掛けてやらァ」
「…あ…そ、そんな…待ッ…」
俺の言葉の抵抗空しく。
抵抗の意味なんてないとは分かっているけど、
それを煽る為に態々の抵抗。
ほら、誘われるでしょう、この言葉に。

褐色の肌に、白いものを散り散りに受けて。
閉じた片目に、開いた片目で色目線。
胸と頬に飛び散るそれを絡めて、首筋にキスを戴く。

「ずっと、ココにいてもイイなァ…」

勝也さんの呟きに、それは勘弁、と舌を出す。
折角自分で終わろうと思ったのに、欲しがる勝也さんの手が伸びて。
自分の手よりも彼の指にほだされて、溶かされて思わず名を呼ぶ。
「もっと、呼べよ…」
せかされて、口を閉じる。
たまには苛めてもイイかな、と。

それに焦れたのか、俺を執拗に責める。
それも、イイかな、って……

なぁんだ、俺、ココにいてもいいんですね。

なぁんだ、俺は、案外『食わせ物』だったんですね。


ほら、アンタの花がココにも散った。


ついて行くより一緒に行けば良い。山が、そう鳴いた。


そうして、何度も散れば、いつしか乱れ桜のように?
ついても倒れぬ山桜。それになりたくて山を支える。
下らぬ自暴は何処へやら。


単純なのは己ばかりでないネェ。


END?


<小言>
うわ!なんだこの二人、物凄く仲が良い!(爆笑
支配される関係とは一寸変わってきたようですね〜;
しかし、つい、書いちゃいますね、山篭りネタ。
ボタンって一寸した時に冴えてるトコ見せるような印象があったんですが
恐らく本当は抜けてる奴なんでしょうね〜vv

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