★ゲーセン発24時★
鍵で鍵穴を探って挿し込む。
むぅ。ちょっとこれからああしようかなどと考えている時に、こう、
なにかを何かに入れる行為って言うのは
それだけでドキドキするもんだな。
ひねって回して。そっか、ひねるってのも手かな。っと、なんでもねぇよ。
分譲なのか賃貸なのかウイークリーなのかしらんが、
ヒト部屋2階建てのマンションで。
玄関を入ったら右脇に狭い木製の階段が続いている。
奥は暗いからよく見えない、が、
あの上にボタンが普段就寝に使っている部屋がある。
左はと言うと、木の枠にすりガラスを埋めこんだ扉。
この先に、居間らしき物と、カウンター式のキッチン、
無論カウンターの上には常時ウオッカやジン、
リキュールなどのビンがずらりと並んでてそりゃ壮観…

ガチャ。

な、筈なんだけど…うお。
なんだ、この強盗が入ったような居間は?!
ビールの缶やコップ、ビデオテープがひっちゃかめっちゃかに転がっている。
なんとか現状をとどめているのは端に置かれた大型テレビの上だけ。
その前に座されていたはずのゲーム機(プルヒテ2)も
何やらタオルが散らばってて見えない。
なんなんだこりゃ。コノ間来た時とはえらい違いだぞ?!
それだけ、荒れてたって、ことか。
脚で物を掻きわけて場所を作り、そこにボタンを下ろす。
「ん…」
身体に感じた些細な衝撃に、ボタンが声を漏らす。起きたか…?
「……Z…」
寝てるよ。
そういやこないだコイツんちに泊まって
ベッドに二人で無理矢理寝た時に蹴り落としたら(実はわざとだったんだが)
ウンウン唸りながらそのまま寝てたっけなぁ…
…アレは面白かった…いつかもう1度やろう。
とにかく、コイツを風呂にでもいれねぇと…。
髪を触ったら、ベッタベタでやんの。俺がコーラぶっ掛けたからだろうけどな。

立ちあがろうとした俺の肘に当たったテーブルに気づいて、
ちょいとそっちを見やる。
「…酒、か…」
当たった感触で中身が飲み干されていない物だと言うことが分かった。
ちょっとその酒が、気になる。
酒は、嫌いだ。匂いがだ。だから飲んだコトはない。
ボタンを転がしたまま、その缶を一寸手に取ってみる。
顔に近づけて…。う、キッつ…。
んじゃこのコップはなんだ?ん?
コーヒー牛乳?いや、でも一寸酒の匂いもするぞ。
やけに興味を惹かれて、
やっぱりそれはボタンが酒が好きだから
一寸位は知っておこうかなという気持ちもあったのかもしれないが
それは認めないで置いといて、
幾つか残っている酒を手にとっては確かめ、手にとっては覗きこむ。
いちいち顔をしかめながら、俺なにやってんだ。
さっき手に取ったコーヒー牛乳みたいな酒に手を伸ばして。
「……。」
ちょっと口をつけて、飲み込んでみる。
……
「甘い…」
なんだ?結構、酒ってうまい物…なのか?
これは甘いぞ、しかもコーヒー牛乳みたいな味だ。
ただの、コーヒー牛乳か?
いや、でもこの味は…やっぱ酒、なのか?
このなんか後に残るスーって感じが酒っぽいよな…
気がつくと残っていたのを全部飲み干してしまっていて。
吐く息がなんとなく熱くなってきたのを感じた。
ああ、これが酔うってコトか?んじゃやっぱり、アレは酒…

熱い。

ボーっとする。

なんだコイツ、こんなところで寝て。
なんだこの部屋、きったねぇなぁ。
なんだこのタオル、なんでこんなところにあるんだ。
なんだコイツはなんで、なんで俺の目の前で据え膳になってんだ。

あー?

眠りこけているボケの頬っぺたを突っつくと、眉をしかめて焦れたように動く。
眉間を突付いたら、手で払われた。俺はハエか?

……。指を耳に突っ込んでみる。

「…ん…」

甘い吐息を吐いて。ボタンの唇がかすかに開いた。
そこから漏れたのは息だけでなくて、小さな言葉。

「マミー…さん…」






カッと頭に血が昇った、そこまでは、覚えている。
首が痒くなって目を閉じたままぼりぼりと掻いて。
あー、よく寝た。って、あ?俺、いつ寝た?
片目をゆっくりと開くと、視界には散乱した部屋。
ああ、ボタンの、部屋か。きったねぇなぁ相変わらず。
頭、イテェ。
……頭?
痛む頭をさすりながら、身体をゆっくりと、痛みを増幅させないように起こす。
鼻から大きな溜め息を吐いて。あたりを見まわす。
ちょっと状況が掴めない。
寝てたんだろ、俺は。
ボタンがたしかこの辺りに落っこってた気がするんだが、落ちてネェな。
起きたか?だったら俺に布団の一枚くらい…肌寒いじゃ…。

「な…っ!」

なん!?なんで俺、裸よ!!?
しかも、なんかこの身体の感覚は…
一発抜いた後の感覚だろ、この抜けたような軽さは。
ボタンと、ヤったのか?
…記憶が、ねェ。クソ、勿体ねぇ。こりゃヤったな。
しかしこのキタネェ部屋で良くヤったな、俺も。
して、当のボタンはどこよ。

自分の吐く溜め息にばかり耳を奪われていて気がつかなかったが、
どこからか小さな音が聞こえる。
この音は、そうか、シャワーの音か。
ボタンの野郎、シャワー浴びてんのか。
文句の一つも言ってやろうか、布団くらい掛けろ、ってな。
あっちこっち痛みが走る身体を持ち上げて、音が聞こえるほうへ行く。
水の音が絶え間なく続いて。
その音が、変わらないコトに妙な不信感を覚える。
シャワーってのは、ずっと上から降ってきてるだけじゃねぇだろ?
こう、落ちてきたのを身体で受けとめるわけだから、
いちいち雨音が変わるような感じで、音も変化するだろうが。
変な、感じ。

ユニットバスのアコーディオン式の扉をぐいと掴んで開く。
「うわ」
湯煙で一瞬前が曇った。
なにも、見えない、なんだこりゃ、どう言う、これはどう言うアレだ?
「ボタン!なんとかしろこれ!」
俺の声も雨で掻き消されて。
俺に返って来る声が細く聞こえた気がした。
湯煙が、部屋の方に流れて行って、薄くなる。
その向こうに褐色の肌。
「…なんだ、いるならいると言えば…」
「…もぉ…許して下さいよぉぅ…勝也さーん…」
「は?なにが……ッ…あ?!」

薄くなった湯煙の中に両手を高く掲げて、
丁度シャワーカーテンのレールに吊られた形で、裸体を曝したボタンがいた。
これは、どう言う、アレだ?
状況が掴めずに俺の口があんぐりと開く。
ボタンの後ろで降り注ぎつづけるのは暖かい雨。
それは浴槽に溜まって流れだし、ボタンの足元を濡らしている。

「…ボタン…」
「…ッハイ…」
「なんか、したか俺」
「…えええーッ!?お、覚えてないんですか?!」

俺が呆然としてかぶりを振るとボタンが困惑した顔で
ウソだろう?と首を横に振る。
いや、本当に覚えてねぇの。何したんだ?
こうなって、こうやって縛ってあるってことは、相当…

「なに、した?」
「せ、説明、しろって言うんですか…そ、そんなん恥ずかしくって無理ですッ!
 それこそ拷問ッすよ極道ッすよおォ!」

微かに赤身のさした頬を更に染めて。
こんなのも、イイなぁ、と…。
腕を上げた細身の裸身。
無防備になりやがってよ、これは、覚えてねえんだからしょうがねぇよな。
「か、勝也さん…もう、ほどいてください〜…」
「俺、覚えてねぇからよ」
「わ、分かりましたよ、だからほどいて…。」
「覚えてねぇから勿体ねぇ。ちゃんと記憶に残るやつをヤらせろよな」

ひぃッと叫んだボタンの反応は見なかったことにしとこうか。
昨日俺がしたのは多分、身体中噛み付いたとかそんなんだろう?
肌見りゃ一目瞭然だっての。
掲げられて腕の皮の薄い部分を、指を使ってなぞってやると顔を逸らした。
目閉じて震えて、熱い息が漏れちまったんだろ?隠したって分かるぜ。
いつもの、あの顔だろうからな、
その内隠すことも忘れるくらいになっちまうんだ、
せいぜい今の内だけ恥ずかしがっておきな。
レールにボタンの腕を括りつけていた物はタオルだった。
ああ、あのタオルか、と自嘲しながらそれをキツク縛りなおす。

「や、やめて下さいよぉぉ…ッ、俺、こう言う、縛りとか、駄目ッすよ」
「昨日はそれでイッたんだろ?」
「う…そ、それは、アレは勝也さんがぁあああ」

困り果ててオロオロする姿もたまんねぇよなぁ。
さて、それじゃ聞きますか。

「昨日、俺にされて一番困ったコトはなんだ?」
「……ッ…あ、え?いや、あの、それは、っと、」

?なんでそんなにおたつくんだよ。
もしかして、俺はそんなにスゴイことしたのか…?
そりゃますます知りてぇよなぁ。
その口から、いやらしい言葉でもなんでも吐き出させてやろうじゃねぇか。

「どこを、どうされたのか、言えよ」
下腹部に手を伸ばして、根元から掴み上げて指を動かし始める。
「……ッ…ま、待…勝、也…さッ…」
すぐに反応を示したココは、
昨日のじゃ物足りなかった、とでも言っているようだぜ?
擦り上げながら胸の突起に口付けて舌で転がす。
「ん、んっ……はァ…ッ」
吐息で反応をして、これがだんだん悲鳴に変わって、
それからまた声にならない喘ぎに変わって行くんだろうなぁ。
その、段階が俺は好きなんだよ。激しくすればそれなりの反応が返って来る。
それを、自分がした事へのご褒美みたいに感じることもある。
さぁ、もっと、楽しませてくれよ。
「言わないと、このまま放置するぜ?」
「…そ、んなァ…煽っといて、そりゃ…ねぇですよ…ッ」
「欲しいか?」
「……」
「ん??」
「言え、ってんですか…」
「欲しけりゃさっきの質問に答えな?」
その俺の言葉に、刺激を求めたボタンの目線が
甘い溜め息と共に俺に送られる。
目線が泳いで。
ゆらりと揺れた瞳が一瞬下の方を見た。
そこに気を取られて、釣られて下を見る。
シャンプーが、転がっていた。
……
言わせて、やろうじゃねぇの、なにがあったのか。
「言え、よ?」
「…あ………勝也さんが…そこの、シャンプーで…えっと…」
「それじゃわからねぇだろ、どこに、シャンプーで何をしたんだ?」
すぅ、と息を吸って。
強く目を閉じたボタンの口から、
悲鳴みたいな言葉が発せられて、
それに俺は面食らった。
え?なんと、言った?
頭の中で反芻する。

勝也さんが俺の後ろに、それ全部入れましたッ…!

ソレ?

ソレって、これか?
繰り返して、シャンプーの容器を持ち上げる。
空に、近い。
「そ、それ、で?」
思わず笑みが零れる。
「ソレで…すぐに勝也さんが入って来ました…」
「どうだった?」
「…死ぬかと思いました…」
「よかったか?」

俺の声に力なくコクンと頷いて。
耳まで真赤にして顔を一生懸命伏せている。
その顔無理矢理持ち上げて、じっと見てやろうじゃないの?
ほら。恥ずかしいか?
そんなこと言った自分が俺に直視されてて、恥ずかしいか?
妙に嬉しくて、妙に楽しくて、嗜虐的でそんで開放的で
とにかくまだまだコイツを抱きたい、と思った。
ほっとかれて寂しかったろ?
これから、もっと死ぬほどイイ思いさせてやるよ。

奥の奥まで洗ってやって、それで楽しませてやろうか、
いや、まだ中に残ってるだろうから、リバイバルってのもイイねェ。
お前はその感触覚えてても俺はおぼえてねぇモンな。
どうせなら、イイもんは共有すべきだろ。

ひとつ。
酒はもうのまねェ。
やっぱり勿体無いからなァ。折角楽しんだのに、一緒じゃなかったってのはよ。
なぁ?だからもう1度、1度?いや、回数なんて数え切れねぇくらい、やろうぜ。


タオルをほどいてシャワーを止めるのは、その、後、で、な。



さぁ、楽しもうか。







〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
■コメント
ひゃ〜エロシーン(笑)たいしてないのに疲れましたvv
こう言うシーンはここまででッす。
もう一本で終わります〜
「恩返しブーム到来」って感じの内容になるですよ(笑
でも実際シャンプー使ったら、粘膜荒れちゃうよ勝也君。
そうしたら、当分出来ないよ勝也君。

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