★催後の晩餐★
「フラッシュバックって、やつかな」

おもむろに、ピエロが言った。
しらねぇよ。
そんな物。

「同じようなことが起きると、似た経験を思い出すってんがあんだろよ」
「…何が言いたい?」
「咥えるのと食事が同じか…」
「…ッテメェ……!」

殴りかかった俺の手を掴んで。

「感情的になるとアンタ弱いよね。」

知ってるよ。
俺よりお前の腕力が上なのは、知ってるよ。
だからって、
こんなに、床に押し付けたら、潰れちまうよ。
俺の心も、このまま潰れれば、なにも感じなくなるかな…

「口と後ろが同じだって言ったよな?同じかどうか、見てやるよ」
「なに、言って…」
「あんたの唇と後ろのココ、どっちが愛情に富んでるかね。
 見せてもらおーじゃない?」

それは、その言葉は、どう言う意味?
なんで、俺をそんな目で見る?
止めろ…
やめて…!

「はな、れろ…!」
「嫌だね。」

掴まれた腕が痛くて。
手首の骨が、その握力で軋んで潰れそう。
何故、俺を壊すの?
なんで俺を汚すの?
もっともっとこの口に、それを受けろというの?
身体中精液まみれになって、単なる肉の塊になれって言うの?!

「ああああああああッ!!!!」

俺の口から、酷い悲鳴が漏れて。
なんで叫んだのか、わからない、身体中から悲鳴が漏れて、
それが集まって口から吐き出されただけ…!


「わかったよ!犯せばいいじゃないか!この唇を、俺をよぉ!
 もっとまみれてもッと汚くなってやるよ!」
「俺のモノそんな汚い物扱いすんじゃねぇよ」
「……キタネェだろうがよ、アレのどこが綺麗だってんだ?!」
「俺だって美味いもんだろうとはおもわねぇよ、
 でもあんた、これ食うツモリ?そりゃ困るな。痛いし。」

ピエロが困ったように笑った。
ボタンさん、こりゃ心理学だよ。
なに?
知ってる?
しらねぇよ。勝手にしろ、もう、抵抗なんかしねぇよ。
食欲と性欲は、似通ってるんだとよ。
だから、なんだよ。
俺にとっての食欲は、幸せの象徴なの。
だから?
性欲も幸せなのかなァ、と思ってよ、違うんかな。

「…しらねぇよ、馬鹿。」

何が、幸せだよ。
性欲なんて。
性欲なんてよ…単なる…欲望…の、無理な押しつけ…だろう?
俺の手首の力が緩んで。
開放された手首がそっと持ち上げられて、唇を押し当てられる。
舌先がチロリと見えて。赤く腫れたそこをそっと舐める。

「ちょ…ッ…ピエロ…」
「大丈夫だよボタンさんよ、食ったりしねぇから」
「誰が、食われるかよ…」

俺の手首に。
そっと愛撫がなされる。
ピエロの唇が、舌が俺に与えたのは優しい口付け。
欲望の押しつけには見えなかった。
お前の唇の先にあるのは、どんなもの?
俺の唇の先にあったのは、無機質なモノ?
それとも。

「ここを、俺が欲しがるから舐めるの。わかる?」
「そんなとこ、欲しがるな阿呆」
「んじゃどこ欲しがって欲しい?」
「……壁でも舐めてろ」

そんな物欲しくねぇよ、って、笑った顔がやさしくて。
ドキンとしたけど、そんなのぜったいに顔に出さない。

「俺が舐めてるのは、ボタンさん、あんたの、身体。
 他の何でもない、アンタの身体だよ。」
「しってるよ」
「わかってねぇから教えてやったのに。感謝のひとつもいわねぇの」
「わかってねぇか?」
「わかってねぇから、汚いなんて言うんだろ。」

何、言ってんのか、よくわからねぇよ…
唇に、指を当てられて。
そっとなぞられる。
其処は…。
其処は、俺の…

そう、俺の、単なる、唇なの?

「もっと、単純に見れば?精液と食べ物が一緒じゃ、
 俺の料理の楽しみなくなっちまうし」
「お前に合わせて考え変えろッての?身勝手。」
「身勝手だよ?だってよ、俺はあんたに美味い物食わせたいから。俺の精魂込めて作った食いもんと、勝手に発生する欲望と同じにされちゃァな〜。精液を手作り、なんて無理な話じゃん?」
「なに、言ってんだお前…はは…」

ピエロの頭が俺の胸元に埋まって。
その唇が開いて、服の前を器用に開く。
残された指が、俺の唇を何度も触るから。
恐る恐る開いて、舌で、舐めてやるよ。

「ん…う…ッ」

わかってるよ。
話、すりかえられて誤魔化されたの。
恐らく俺はまた、唇を汚らわしいと思うようになるだろう。
そうしたら、今度はこいつはどんな理由をつけて誤魔化してくれるんだろうな。
ピエロのあったかい口の中に、俺は咥えこまれて、焦らされて。
裸体をさらして仰向けにねッ転がった俺の足の間から
俺がどんな反応するかなんて、見てんなよ…
反り上がった背中に指が滑って。
薄く開いた瞳に天井が揺れてうつる。
つま先で畳を掻いて。
震えた足が押さえこまれたのは、お前が始める合図?
さっきまで俺を咥えてた唇が、舌を出して笑うから。
いいのかな、って気になる。

おまえ、俺を誤魔化しすぎ。

「痛く、ねェ?」
「ん……足りねぇくらい…」
「んじゃお言葉に甘えて…」

俺の様子をうかがうように動いていた身体が。
反応を見るように柔らかく激しく波を送りこむ。
身体を丸めこんで、キスをされて、
そのまま深く入るそれに声が漏れるけど、塞がれて声にならない。
なにも、わからなく、なってしまう…
ああ、俺、キスされた。
さっきまでその唇、俺の其処に這わされてたのに…。
抜き差しに身体が喘いで、それ自体まで誤魔化されてしまうから。
もっとわからなくなってしまいたい。

後ろで思いきり放出されて。
中に飛び散る感触に、喘いだ息が高く鳴る。
「ふぅ、ア、ああ…ッ…」


「そんなに、繊細に考えないで…もッと麻痺しちまえば、いいんだ…」


それが、誤魔化してくれた、理由?
熱く息をついた身体が、熱を持ったまま合わさる。
まだ、するツモリかよ?
駄目?
疲れた
終わったら、メシ食えば大丈夫だろ?
そんなもんか?
そんなもんさ。





お前、本当に料理上手なのかよ?

えー?なんでよぉ〜

冷めててくっ付いてて伸びててマズイよコレ。




誤魔化されてほだされて。
まぁイイか、と口に運んだそれは、本当は美味かったよ。
罪悪感を感じたら。
おんぼろ小屋に逃げ込もうか。
え?別に?ココだなんて、言ってねぇよ。はは。





うわ〜自分で書いた勝手に作ったキャラに惚れるなんて馬鹿ですか。
ピエロ、原作設定曖昧ですねvv登場してないせいだとは思うんですがvv
どうもやっぱり、カー坊とかぶってますねぇ…でも、ボタンと目線が一緒だから、また違った雰囲気?(^^;
ボタンSIDEからの文章なのに、ピエロに目がいく…あうう。ボタン好きだー(コレも誤魔化し。

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