★駄作★

「んじゃ、一寸出てくるかんな。」
「はい!」
マミーさんはコンビニに立ち読みに行くとか行って。
俺もう読んじゃったんですよ、って言ったら、
んじゃ一人で行ってくらぁ、と。
ウソでもつきゃ良かったですかネェ。

溜まり場にしてた倉庫街の一角にて、ぼんやりと海など眺める。
遠く遠く、揺らめく波漁り。
目で捉えちゃァ離して、離しちゃァ抱いて。
「飽きた女にゃ未練も抱かぬ、か?」
父親やが朗じていた一節を思い出して口ずさむ。

「飽きた女?なぁにそれぇ。」

呆れるほどの軽い声に振り向く。

「……」

何処かで拝んだ顔。しかも見たくなかった顔のような気もする顔。
その手が、俺のほうにツイと伸びるのを見てゾクリとくる。

「ほ…細目ッ!!!」
「それはァ名前じゃないでしょー」

にこにことしたその勘蟲(カンムシ)に触る表情。

「オレンジ。覚えた?」

にこにことしたまま。そしてもう1度俺に手を伸ばす。

「さ、さわんなッ!な、なんでお前がこんなところに…!?」
「つまんないから遊びにきたの。赤髪はァ?」
「いねぇよ。お前には愛想が尽きたとさ。」
「ふーん。そんじゃぁ、あそぼ。」
「……………は?」

ニコニコと、その顔が俺に向けられて、ソレが脅迫のようにも感じて。
掴もうとする腕を避けると、困った顔をされた。
言っとくけどな、困ってんのは俺のほうだ!
足が竦んで動けないなんて、こんな恥があるか。
以前のあの感覚、自分が個体でなくなる恐怖。
すべて意識も飛ばされてゲル化する判断力。
あんなこと、ニ度と味わいたくはない…!

「だぁいじょうぶだヨォ。敵じゃなければ溶かしたりなんかしないから」
「…敵じゃ。なけりゃ?」
「そんじゃ君は敵?どっち?30秒以内に答えよッ!」

嬉しそうな笑顔でそりゃもう
『ワクワクしちゃってたまんないっ』てな風体で。
その笑顔を押しつけられるこっちの身なんか
知ったこっちゃねぇだろうが。

「て、敵じゃねぇよッ!分かったらさっさと帰れ!」
「え〜?そんなこと言っちゃ駄目。あそぼ。ほら。」

手を伸ばされて、恐る恐る掴む。
何も言われていないのに、そうしなければイケナイ気がした。
俺が伸ばした指をぎゅっと掴んで、ニコリ。
「成立…」
そう言って俺の手を強い力で引き。
俺は引き寄せられてその身体にぶつかり。
ぶつかった身体はその腕で抱かれた。

「…え?」
「今日は、君が遊び相手。そうでしょ?」
「な、なんだと!?誰もそんなこと…そもそも、この手を離せッ!」
「何して遊ぶ?いつも何してるの?ねぇねェ。」

俺の頬を手で挟んで。
はずそうとした俺の手がその行為に止まる。
オデコにオデコをくっ付けられて。
「ん〜…」
「…何…」
「ん〜。そうか。分かった〜」
「何が!」
「君のいつもの遊び!了解ッ!んじゃ遊ぼう!」

はぁ?と聞き返す俺の頭をグリグリと撫でて。
なんなんだ、本当にこの男は。男、じゃない、えっと、魔族だっけ?
そんなこたどうでもイイ。なんで俺はこんな奴と遊ばなきゃならんの!
あからさまにイヤそうな顔をして見せたら、大丈夫、と言われた。
何が大丈夫…?
跳ね返す俺の言葉は塞がれて。
奴の長い舌が俺の唇を舐めた。
トロリとした感触に、一瞬気が遠くなる。
「な、な、なん…」
「君のいつもの遊び。」
え?!って、コイツ。なんで、俺の遊びがキス?なんでそうなるんだよ!
もしかして、読まれた?何を?心?そんなこと出来るわけない。
いや、でも、まさか。
困惑する俺の動きが止まったのを見て、
不思議そうに小首を傾げると、もう1度俺の唇を舐めた。そして…

「ん…んんっ!!」

唇が直に触れ。奴の唇が少しずつ割れて俺の口内をこじ開けようとする。
噛みきってやろうかと身構えた俺の腰に、手がスルリと滑って…
ゾクッと来た時にはもう、粘膜はめちゃめちゃに掻き回されてた。
逃げるように引いた舌を無理に絡めとって輪郭をなぞられる。
抱かれた腰が震える。
こんなキス、始めて。だ…。
長い舌が俺の上顎の手前を探り、其処から舌先をくすぐる。
身体が勝手に、ぴくんと跳ねた。
ぼうっとして身体が動かない…

「ぷは…。オイし♪」

オレンジの野郎のそんな戯言を耳に入れる頃には、
既に俺は満身創痍。
離されて唇が耳元に寄せられて、耳の輪郭をたどっても、
頭が麻痺して追い付かない。
自分の口から漏れたのが吐息だってことも知ってて、
抱いた身体に逆に指を食いこませてるのも俺だって知ってる気もする。
気もするだけで、理解なんか、出来なかった。
コレが俺の遊び?
何度も、頭の中で反芻する。

「あは。案外ネンネなんだねぇ」

耳元で囁かれて、撫でられて背が反り上がる。
開いた咽喉に、舌が這って、舐め尽くされる。
止めようとしても、痺れた身体は思うように動かない。

もう1度、深いキスをされたまま、引きずられて壁際へ。
押しつけられて、更に深いキスに翻弄される。
死にそう…こんなキスされてたら…。
自分の下半身が既に反応しているのがわかる。
コイツだって、知ってる筈。
音を立てて探る舌に、身体中が内膜になったように敏感に……
「ん…んぅ…!!」
つい、と撫でられた指に、俺の意識が脳天へ付き抜けた。

「可愛い〜…キスだけでイっちゃったね」
「…は…ァ…ッ…」

楽しそうに笑う奴の姿を、ただそこにあるものとしてしか認識出来ない。
今の快感は何?
今の信じられない快楽は、何…?

「今度は僕にもしてよ」

そう言われて、身体を折り曲げる。
膝をついて。其処の部分に手をかける…
ああ、もう俺はコレについての判断なんて出来ない。
さっきのキスで、もう心はどこかへ飛んだんだ。
既に威きり起っている其れに舌を滑らせながら咥え込む。
粘液の感触が唇を滑る。

「あ…そう…もっと奥まで飲みこんでよ」

髪を柔らかく掴まれて。誘われる。
グイと押しつけられて咽喉の奥まで。
頭を腕で固定されて、動かれた。
唇に摩擦されて、卑猥な音を立てる…ああ、この音にさえ煽られる。
一時して。俺の口内に注ぎ込んでそのまま俺の頭を掴みつづける。
口の中が溢れて苦しい。零れた液がぼたぼたと落ちて鎖骨を濡らす。
むせ返ると、直ぐに其れは引き抜かれた。
すべてが零れて俺の肌を侵略するのを見て、何故か「勿体無い」と思った。

「ねぇ、人間の口じゃコレ以上無理だよ、もっと深いところ出して」

身体の、奥と、言うことか。
壁に手をついて。
されるがままに犯される。
腰を抱いた腕が肌を滑って俺を握りこんで煽る。

「…ああッ……は…」
「声変わり、まだ?可愛い声だねェ」

そんな侮辱も侮辱と受け取れぬ快感。
既に俺は多分。思考を失ってただの人形。
逆らう理由さえも脳裏に浮かばない。

膝が震えて、立つのを不可能とした動きに崩れ落ちると、
日陰の冷たい地面が頬に触る。
よいしょ、なんて腰を持ち上げられて、
突っ伏した俺の背後から、また突き抜ける強い痺れ。
地面を掻く爪の音が、微かに耳に入る。
この音は、俺の立てた音?
自分は、まだここにいると言うこと?
そっか…ココに…いたんだ、俺…

「ねぇ、名前は?」
「…ぼ…たん…」
「ボタンかぁ。ねぇボタンは、この遊び、飽きちゃったの?」

ズルリと意識が持ちあがる。
ああ、ココにあったのか、俺の意識。

「あ、そびじゃ…ネェから…コレは…」
「え?そうなの?だってさっき…おかしいなァ。ほら、これでも楽しくない?」
「ああ…ッ!!!」

深く覆い被さったその侵入に声が上がる。
地面に置かれたダラシナイ俺の腕をヤツの腕が滑って掴む。
そのまま動かれて、喘ぐだけ…
俺の腕を掴んだ指が、強くなって…痙攣して。
掠れた声を出して、ヤツの体液を俺はもう1度頂いた。

ペチペチと叩く頬の感触。
薄目を開けると覗きこむ顔。
身体に浸る水の感触に、押し戻されるように意識が戻った。

「…な、なんだぁッ!?」
「海だよ〜。あ、動いちゃ駄目ッ!」
「う、うわ…?!」

オレンジの俺を掴む腕が滑って、頭まで海水に浸って理解する。
ココは、海の中。
海上に顔を出して見まわすと、直ぐ近くにさっきの倉庫街が見えた。

「へへ、ドロドロだったから、洗ってあげてたんだよ〜エライ?」
「…そ、そうかよ………って、
 ああッ!なんてことしやがったんだオメェはッ!」
「今更何言ってんの。変なの。」

そりゃそうだ。
アレだけさせといて、何も抗わずに、そりゃオッケーだと思われて当然だ。
でもな、でもなぁ。
「あのな、あの、あの行為はな…ッ」
「遊びじゃないんでしょ?知らなかったヨ。」
「し、知らないじゃ…すまされ…」
バチャ。
顔に水を掛けられて、息が詰まる。
「何すん……」
「駄目なら駄目って言いなよ。
 言わないからしちゃったんじゃないか。違う?」
「……わかってんよ…悪かったな。」

そいつから、一刻も早く離れて岸に着きたかった。
このままコイツに抱かれて浮いてるなんて、そもそも其れが恥ずかしい。
それに、コイツは説教しやがる。
保護者みたいに、なにが、「違う?」だよ…
照れたじゃネェか。クソ…もぉ。
ちがわねぇよ。断れなかったんじゃねぇよ。断らなかったんだよ。
あんな、楽しそうな顔して、抱くやつがあるかよ。
そんな楽しそうな顔させることが出来るなら、つい、
抱かれちゃうじゃねぇか。
マミーさんだって…楽しそうだから…つい…

エセ笑顔だと思ってたコイツの表情に、やられたんは俺の勝手。

誰かが俺の笑顔を求めてくれないかなって思うのも、俺の勝手。

願わくばコイツじゃないことを祈りたいね、身体がもたねェ。

「ばしゃーん!」
そう言ってはしゃぐこの男に、びしょぬれにされて岸にやっと上がると、
マミーさんがニヤニヤしながら俺を見てた。

「……マミーさん…!!!いつから…」
「さっきから。なぁに海の中に妙なヤツがいるのかと思ったら、
 細目の遊び相手とは、またコリャガキだなぁ」

そう言ってマミーさんが笑ったから、俺も困って笑った。
オレンジが手を振った。
バイバイ、だってさ。

いーよ、バイバイ。
マミーさんが言葉をくれたから、俺、怒んないで許してやるよ。
今度会ったら…!…逃げるからな。…ちぇ。

「一寸、妬けたな」

だから、許してやんよ。
あー、俺の遊びって、なんだろうなと思いつつ。
マミーさんの嬉しそうな顔と照れ笑いと、
なんかもうすべてひっくるめて俺が楽しいと思うから。
それでもイイやなんて、それじゃ安易かね?


<こめんと
タイトルの通り、最悪な駄作です。
ないようが全くくだらない…ああ、気にいらないvv
提示されてる問題も無いし、
だからソコから派生する答えらしき物もありゃしない。
駄文も駄文。最悪ですね。でも己の恥の為に公開します。てへ。

オレンジとか魔界の連中って、
やっぱアッチ強いんでしょうかね〜(爆笑
トコロで普段マミーとはどんな遊びしてたんだろう…。

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