★饒舌な人形★
この部屋に呼びつけられるたびに、俺は吐いた。
思い出せば、すぐに眩暈がする。
何度それを、させられても。
俺が、それに慣れるコトはなかった。
「少しは上手くなって来たなぁ?」
そう言って俺を褒める。
どうせなら、なじって…ください…。

開かれた足の間に、這いつくばる様にして俺はそれを愛撫する。
舌を絡めて、何度も。
勝也さんの腕が、俺の肩を掴む。
言われるままに、望むままに。
ここに居られるのなら。
もう、笑っている俺は、当分の間、どこかへ消えるんでしょうね。
笑うことなんて、もう、出来ません。笑顔を作るコトはできても。

犬のようにソレを舐めて。
勝也さんの好きなところも覚えた。
これで、良いんですか?
ご褒美に髪を掴まれる。

「犬に服が必要か?」

ああ、助けて…。

薄皮一枚の下まで、見透かされるような。

もう1度、肌をさらけ出したまま、アナタを愛撫する。


肌に触れられて。
髪を引かれて、真っ正面からの目線に舐めまわされる。
「…見、見ないで下さい…ッ!」
「肌が黒いんだなぁ。焼いてるのか?」
「…い、イエ…」
「目立つだろうな?ここにぶっかけたらよ。」

息が引き攣る。

無言で口元に指を差し出され。
それの意図を察して、苦し紛れに口に含む。

「ほぅ、こんな顔して舐めてるのか。」

「…ッ!!!」

突っ込まれた指が、俺の口内を勝手に犯す。
掻き回されて、苦しくて。
そのまま地面に押し倒されて、その冷たさに身体が凍る。
俺の口元を見る目が、笑う。
ああ、また、笑う。

「……ぼたん…」

勝也さんの声。
もう、見えません。
もう。

「苦しいか」

聞こえません。
もう。

「……」

引きぬかれた指が、目の前で濡れて光って。
恥辱に意識が遠くなる。
従うだけの自分が。寂しくて悲しくて、恥ずかしくて。
あらがえない。
助けられない。逃げたい?
逃げて、どこへ行くんだ?
弱い自分を引きずって、恥をかきながら晒し物にされるよりも。
ここで死んだほうがまだマシと感じる。

耳元に感じた一瞬のぬめりに、意識が駆け上って、途絶えた。


「…あ…ッ…」


訪れてしまった『快楽』に。
捩れた声をさらけ出して。


■饒舌な人形・3……勝也×ぼたん

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