またあの館に人が入ったってよ
物好きもいるもんだ…
あの館…世間では人死にの館と呼ばれている…の取り壊しが決まったときも、
同じように心が騒いだ。
取り壊すって?冗談じゃない…あれは俺の…思い出の場所なんだから…!
買いうけたのは俺で…
そして俺はそこに住まずに、その館を貸した。
始めに入ったのは、ダークブルーの目をした、日系の男だった。
次に入ったのは、ブロンドが綺麗な女だった。
子どもを連れていたようだが…はっきりと記憶に無い。
何せすぐに死んじまったからな…その館が人死にの館と呼ばれるようになったのはもう数年前のことだ。
そこに住んでいた一家が惨殺されると言う事件が起こった。
俺はそこの使用人で、その事件のたった一人の生存者だ。
むろん、警察は俺を疑ったさ。証拠もないがね。
俺は屋根裏でがたがた震えていることしか出来なかったしな…
悲鳴ってのはどうしてああ響くものかね…
死ぬときは声一つ立てないくせによ…
その事件が終わり、俺は仕事を失った。
屋敷からこっそり持ち出した金品で生活をしていたがそれも家を買いうけた所で底をついた。
ただ同然の家だったがね。
おっと…話がそれたな…
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