俺のご主人が殺されてから…その館では人死にが出るようになった。
その家に住んだヤツが次々と変死体で発見されている。
青い目の男は、スープ皿の上に頭をのっけて死んでいた。
むろん、身体はベッドの上にあったがな。
ブロンドの女は…風呂場でただれて死んでいた。
何か薬品をかぶったらしい。自殺の線も濃厚だったそうだが、俺には関係ない。
だがその館を借りようとする人間は尽きない…。
人間の本能なんてのはその程度のものなのさ。
だが……
ひとつ気になることがある。
それはひとつの箱だ。
ちょうど両手で持てるらいの小さな箱。俺の主人だった男が持っていたものではない。
こんな箱が館にあったなんてこと自体知らなかった。
箱と言うより、まるで棺だ。
中には人形が入っていた。
洋人形…くるくると巻いた髪が愛らしい青い目の人形だ。
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