俺の死体を見下ろして、俺が立っている。
声も出ない。

老婦人はおかしそうに笑って言った。
「終わったねぇ。あっけなかったかねぇ。」
なんだと?!
と言おうとして、口が動かないことに気づく。
老婦人が俺を抱き上げた。


「お人形は。もういらないね。」


そう言って老婦人は当たり前のように暖炉を使い、火をくべる。
当たり前のように。
そこが我が家であったかのように。


「こんなことしても戻ってこないのは誰の家族だと思う?」


老婦人は、哀しそうに笑うと、俺を火の中に投げ捨てた。


               FIN

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